Fusion360で誂えるフック

 ところで、どうやら僕はフックが好きみたいだ。どうやらというのは、人に指摘されるまで自分では気付いていなかったからで、言われてみれば、確かに僕はなんてもかんでもフックやカラビナを使ってぶら下げる傾向がある。ジーンズはベルト通しをフックに引っ掛けて壁に吊るすし、ジャケットもハンガーに掛けるより首根っこについている小さな輪っかをフックに引っ掛けておくのが好きだ。お風呂にはもちろんいくつかフックがついていて、鏡のワイパーだとか洗剤だとかがぶら下がっている。玄関のドアにもマフラーやなんかを引っ掛けるフックが付いている。家中フックだらけだ。
 おまけに、これは多少異常だと分かっているのだけど、普段持ち歩いているバックパックにもフックが付いていて、電車に乗るとき吊り革にカバンを吊るしている。どこかで買い物をしてカバンに入らない荷物ができたときはそのフックに引っ掛けて運ぶ。
 フックの何がそんなにいいのかと聞かれれば、その理由の一つは浮遊感だと思う。たとえば誰だって畳の上に布団で眠るよりも、ハンモックに揺られて眠る方がウキウキするのではないだろうか。フックに吊るされた荷物には、重力に逆らい浮遊し、かつキチンと収納されているという小気味良さがある。もちろん、地面からの汚れが付着しないという実用的な理由もある。

 というわけで、ここでは自分だけのオリジナルフックを作成してみたい。
 ちょっと色を塗っただけとか、ちょっと形を変えただけではなく、文字通り1から作成するフックだ。適当に好きな形を作るのではなく「ある特定の場所にピッタリ」という気持ち良くプラクティカルなフックを、さっと3Dプリンターと3DCADで作成したいと思う。
 3DCADは難しい気がするかもしれないけれど、もともとCADというのはComputer Aided/Assisted Design、つまりコンピュータに助けてもらいながらデザインを行うというものだから、もしも何か物の形について考えるのであれば、頭の中だけや紙と鉛筆で行うよりもずっと簡単になる。本当にずっと。僕に関して言えば、3DCADなしではデザインできない。
 さらに、今回はフックというシンプルな形状を作成するので、CADの機能のほんの一部分しか使わない。
 3DCADはすっかり有名になったFusion360を使っている。趣味の範囲で使うのであれば無料で使えるCADで、これだけの機能が無料で提供されていることは未だに信じられない、というくらいに便利なソフトだ。

 それでは。
 1,Fusion360をインストール。
 これに関しては既にたくさんの解説サイトがあるので、たとえば「CAD大学」の「 Fusion 360 ダウンロードとインストール方法」
   https://xn--cad-2d8e72h.jp/introduce/fusion-360-%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%81%A8%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AB%E6%96%B9%E6%B3%95/
 などを参考に。

 

2,こちらも目の前にあったテーブルにフックを付けることにする。
 天板の厚みを図ってみると25mm。

 

3,モデリング。
 3-1, スケッチの「線分」をクリック。

 

3-2, ベージュ色の四角のどれかをクリック。

 

 3-3, クリックしたポイントを真っ直ぐつなぐように線が引かれていく。小窓に表示されている「長さ」「角度」はキーボードからも入力可能で、「長さ」↔「角度」の行き来は「tab」キーで行う。

 

3-4, 先程の測定結果を元にして、フックの断面を描く。変な言い方だけど、間違えていても、バランスが悪くても作り直せばいいので大丈夫。3Dプリンタは元々「ラピッドプロトタイピング」という、さっと作って駄目だったらさっと作り直す方法論の為の道具だから、何度だって作り直せばいい。
 線が閉じられた部分はベージュに着色されるので、きちんとベージュになっているか確認する。

 

 3-5, 「作成」と書かれた近辺にある「押出(四角が上に伸びていくようなアイコン)」をクリック。

 

 3-6, 画面の見え方が変わるかもしれないけれど、気にせずに先程描いたフックの断面をクリック。

 

 3-7, 青色の矢印が現れるので、好みの厚みになるように矢印をマウスで動かして「enter」キーを叩く。

 

 3-8, 3DプリントするためにSTLという形式で出来上がったモデルをエクスポートする。画面左に見える「ボディ」左側の小さな矢印をクリックしてリストを展開。

 

 3-9, 「ボディ1」をリスト上で右クリックして、現れた選択肢の中から「STLとして保存」をクリック。

 

 3-10, 「OK」をクリックして、分かりやすい場所とファイル名で保存。

 

4,3Dプリント。
 手順3で作成したSTLファイルを3Dプリント。   

プリントにかかった時間は20分程度で、「あっ、ここにこんなフックあればな」と思って30分後にはその場に誂えたフックができているというのは、実はなかなか未来的だと思う。

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